今日は誰よりも大切な人の誕生日。
出会ってから一年が過ぎたことになる。
彼のおかげで私は少し変わった。
平凡な私にも他の人には出来ないすごい事があると言って、彼は私に勇気と自信をくれたから。
彼は、まるで私の太陽だ。
いつでも明るく私を照らし出してくれる。
そんな彼の誕生日を忘れるはずがない。
今日は土曜日だけど、朝から仕事があった。
私は普段はOLとして勤務している。
仕事は基本的に平日だけなのだが、今日は臨時出勤だった。
いま会社が力を入れているプロジェクトのおかげで普段の仕事量が増えて、平日に終わりきらなかったのだ。
そんなわけで朝早くから出掛ける支度をしていると、突然携帯が鳴った。
着信を見ると―――疾斗からだ。
「もしもし?」
「おっす、俺!もう起きてたのか?」
元気一杯の声が電話口から聞こえてきた。
私は思わず頬が緩んでしまう。
「おはよう!疾斗。今日は仕事があるからね」
「あ〜臨時出勤か。お前も大変だなぁ。ところでさ、今夜会えるよな?」
「うん、大丈夫。夕方にはそっちに行くから」
「そっか!そうそう・・、今日が何の日か知ってるか?」
疾斗らしいなと思った。
こうやって電話してきたのは、多分私が覚えてるかどうかを確認しようと思ったんだろう。
「今日? 何かあったっけ?今日はレースじゃなくて走行会なんでしょ?」
私は敢えて知らない振りをした。
「そんな事聞いてるんじゃねぇ〜よ!ほら、今日はすっげえ大事な日だろ?」
疾斗はじれったいのか急かすように答えを促す。
「大事な日?う〜ん・・・・・あっ!もうこんな時間!!ゴメン疾斗、もう行かなきゃ!
夕方までに考えておくから・・じゃあ走行会頑張ってね!」
「あっ、おい!!」
そう言って私は一方的に電話を切った。
覚えてないはずがない。
けど、驚かせようと思ってわざととぼけてみせた。
疾斗には悪いけど、ちょっとだけ我慢してもらおう。
私はバッグを手に取ると家を後にした。
一方、電話を切られた疾斗は―――――
「・・ったく!マジかよ!!」
電話が切れるなり疾斗はそう叫び、携帯をベッドに投げ捨てた。
普通自分の彼氏の誕生日を忘れるか!?
どういう神経してんだよ!!
誰より覚えていて欲しい人に誕生日を忘れられて疾斗はショックを隠せない。
急にイライラしてきた。
いや・・待てよ。
もしかしての奴、俺を驚かそうとしてわざとそう言ったんじゃねーか?
ふとそんな考えが脳裏に浮かんだが、すぐに思い直した。
あいつは肝心な所で抜けてるからな。
あ〜あ、せっかくの誕生日なのに気分がブルーになってきた。
昨日言っておけばよかったなとも思ったが、それじゃあ何となくばつが悪い。
やっぱり覚えていて欲しい。
もう少し待ってみよう。
も思い出すかもしれない。
放り出した携帯と車のキーを持ってズボンのポケットに入れると、疾斗はサーキットへと向かった。
仕事が終わり一度家に戻ると、すでに夜の6時を過ぎていた。
急がなきゃと思い、急いで冷蔵庫から昨日作ったケーキと、
疾斗の大好物のがめ煮の詰まったタッパーを取り出す。
それらを崩れないように紙袋に入れると、
最後に先週買った誕生日プレゼントの時計が入った包みをハンドバックにしまった。
先ほど買ってきた夕食の材料が入った袋も何とか手に持って再び家を出た。
疾斗怒ってないかなと揺られる電車の中で考えた。
疾斗は自分の感情に素直だから、すぐに怒ったり拗ねたりする。
一度機嫌が悪くなるとなかなか直してもらえないから大変だ。
驚かせようと思っただけなのに、逆に怒ってたらどうしよう。
少し不安に思いながらも、疾斗の家を目指した。
マンションに着くと、合鍵を使って部屋に入る。
まだ疾斗は帰ってきていない。
メールには8時半頃になるって書いてあった。
それまでに夕食の準備をしなくちゃ。
私は早速作業に取り掛かった。
「ふぅ〜、これでよし・・と。後は疾斗が帰ってくるのを待つだけね」
私は時計に目を遣った。
サーキットを出る時に送ってくれたメールによれば、あと10分ほどで帰ってくるだろう。
疾斗喜んでくれるかなぁ。
朝のことで怒ってないといいんだけど。
期待と不安で胸が一杯だった。
そんな事を考えてぼんやりしていると、玄関の外から足音が聞こえてきた。
――きっと疾斗だ――
私はケーキに立てたろうそくに火を点けると部屋の電気を消した。
クラッカーを三つほど手に取ると、そっと玄関の前に立つ。
暗闇の中で心臓の音だけが妙に響いた。
ドアノブがガチャガチャと音を立てる。
私は鍵を掛けておいた事に気がつき、急いで鍵を開けた。
そして、ドアを開けた疾斗に向かって一気にクラッカーの紐を引っ張った。
パァーン!!!
「うわっっ!!!」
いきなりクラッカーを当てられて驚く疾斗に
「お誕生日おめでとう!疾斗!!」
と満面の笑みを浮かべて言った。
一瞬何が起こったのか理解できなかったらしい疾斗は呆然と立ち尽くしていた。
しばらくして我に返ったのか、やっとのことで口を開いた。
「・・忘れてたんじゃなかったのか?」
「私が疾斗の誕生日を忘れるわけないでしょ」
私は当然の事のように言った。
疾斗はまだ呆気にとられている。
暗闇の中に沈黙が訪れた。
少ししてふと彼の目が私から離れると、奥の部屋にあるケーキを映し出した。
「あれ・・もしかしてケーキか?」
「うん。そうだ、早く火を消してもらわないと。さっ、疾斗!」
私は疾斗に部屋に入るように促した。
ケーキや料理が並んだテーブルの前に向かい合わせに座ると、私は照れながらも「Happy Birthday to
you 〜」と口ずさんだ。
疾斗が勢いよくろうそくの火を消すと明かりをつけて、私はもう一度「誕生日おめでとう!」と言った。
「サンキュ。俺・・マジでに忘れられてると思ってた」
疾斗はポツリとそう呟くと、テーブルの上に載った料理に目を向けて感嘆の声を上げた。
「うっわぁ〜、すっげーごちそうじゃん!あっ、がめ煮もある!!!」
テーブルに乗り出すようにして料理を見回す疾風。
そんな彼を見て微笑みながら、私はハンドバッグの中から一つの箱を取り出した。
「これ・・誕生日プレゼント。喜んでもらえるといいけど・・・」
遠慮がちに差し出すと、疾斗は即座に受け取った。
「え?マジ!?すっげー嬉しい!!!」
そう叫ぶと、無我夢中で包み紙を開きにかかる。
箱を開けて、疾斗は目を見開いた。
「この間、時計の調子が悪いって言ってたから・・」
「・・・これ高かっただろ?」
いたずらっぽく言う疾斗にただ笑ってみせる。
「実はこれ・・ペアウオッチだったりするんだ」
私は右腕を持ち上げて、自分がつけている時計を疾斗に見せた。
次の瞬間、彼はとびっきりの笑顔を浮かべた。
「じゃあ俺、毎日必ずつけるよ」
そう言って箱から時計を取り出すと、右腕にはめた。
「去年のケーキも嬉しかったけど、今年はもっと・・・俺、幸せだよ」
静かにそう呟くと、疾斗は急に立ち上がって私の隣に座った。
どうしたのかと疾斗の方に顔を向けると、ふいに顔が近づいてきて、そっと唇が重なった。
私から顔を離すと、疾斗はニカっと笑った。
「へへっ、じゃあ食べようぜ!」
真っ赤になった私は頷くので精一杯だった。
疾斗誕生日小説です! いや〜なんとか当日(正確には次の日の早朝)にupできてよかったぁ〜♪ 疾斗誕生日おめでとう!!
よくよく考えてみたら、SEED以外では初の夢小説です。相変わらず拙い文章力ではありますが、結構書きやすかったです。
もう疾斗大大大好きですよ!! 今かなりはまってますv コロコロと変わる表情がたまらない!!! おまけにここまで
ストレートに感情をぶつけてくれると気持ちいいですよねv おかげで森久保さんにもはまりそうです(笑)
出来たら近いうちに他の疾斗夢も書きたいと思います☆
それでは最後になりましたが、読んで下さった皆様、本当にありがとうございました!