俺は女が嫌いだ。

なぜかと言えば、女は無能で弱いからだ。

すべての女がそうと言うわけではないが、少なくとも俺の周りに居る女どもには十分当てはまる。

ふざけた事に、あいつ等はそれを理由に男が女を守るのは当然だと思っていやがる。

その上大人しく守られているかと思えば、文句だけは一人前だ。

そういう所が俺には我慢ならない。

謙虚に装っているように見えて、腹では何を考えているか分かったもんじゃない。

常に笑顔という仮面を貼り付けて愛想良く振舞っている姿を見ると、 その綺麗に繕ったご自慢の顔を踏みつけてやりたくなる。

全く理解に苦しむ生き物だ。



まるで女を寄せ付けない俺を見て、友人―こいつは若い女とあらば見境なしに声を掛けては、 如何わしい雑誌を愛読している―は、
女のいない人生は米粒ほどにも味気ないと言う。

だが生憎それなりに充実した16年間を過ごしてきたつもりだ。

そんな風に思った事など一度としてない。

俺にしてみれば、奴の方がよっぽどくだらない事に人生を費やしていると声を大にして言ってやりたいくらいだ。

もちろん俺も男である以上、全く興味がないと言えば嘘になるだろう。

だがそれはあくまでも人間の本能によるものであって、俺の感情とは別の次元にある。

今現在軍に身を置き、近い将来戦場に出るであろう俺には、女など眼中に入る事はなかった。







それがこんなにも早く覆される日が来るとは、一体誰に予測出来ただろう。

俺自身ですら未だに信じられなれない程だ。 ましてや俺をよく知る友人どもには、天地が引っ繰り返りでもしなければ到底無理な話だろう。

それも、当然だ。

あんなに女を嫌悪していた俺が。

彼女を見た瞬間、そんな概念は微塵も消え去っていたのだから。



なぜなんだと自分に問い掛けてみても、苛立たしい事だが本当にわからないとしか言いようがない。

気がついた時には俺の目は彼女に釘付けであり、心臓は今まで感じた事がないくらいに早鐘を打っていた。

声を掛けられても、高鳴る鼓動が邪魔して上手くしゃべる事が出来ず、適当に返事をするだけで精一杯な自分。

かつて、女の前でこんな醜態を晒した事があっただろうか。

俺の中で何がどうなってしまったのか、皆目見当が付かなかった。







しかし意外にも、俺はその答えをすぐに知る事となる。

あれからというもの、俺の頭の中から彼女の事が憑いて離れなくなった。

それをどんなに追い払おうとしても、次々に彼女の事が脳裏に浮かんでは消えて、また浮かび上がるの繰り返し。

全く尽きることがない。

それはまるで生き物のように、細胞分裂を繰り返して俺の頭を侵食していくのだ。



太陽の光を吸い込んだかのように輝くプラチナブロンドの髪も。

長い睫に縁取られたスカイブルーの大きな瞳も。

笑うと頬に小さなえくぼが刻まれる、女神のように美しい微笑みも。

綺麗な細い指も、華奢な体も。

彼女のすべてが、俺の脳裏に灼きついて離れない。

目を閉じれば、瞼の裏に、はっきりと彼女の姿が浮かび上がる程に。









自分の身に起こったこの異常な変化の原因が何なのか。

それが分からない程、俺はもう子供ではない。

そう、俺は彼女に―







恋を、したのだ。



























俺の身体のどこにそんな感情が隠れていたのだろう。

止め処なく湧き上がるこの狂おしい感情を、抑えることが出来ない。



彼女に会いたくて。

彼女の持つ形の良い唇が奏でるやわらかい声で俺の名前を読んで欲しくて。

彼女の眩しい程に美しい笑顔を俺だけに向けて欲しくて。





そんな想いばかりが、俺を取り巻いては翻弄する。

それは日々エスカレートしていくばかりで。

それを対処する術を知らない俺は、膨れ上がるその想いを持て余すしかなかった。







もし、この想いを収める事が出来る人物がいたとしたら、それは一人しかいない。

彼女だけだ。




































第1話です。
夏休みから、ずっと書きたくて暖めていたイザーク初恋物語(笑) やっと書く事が出来ました。

今回はカッコいいイザークではなく、恋の病に冒され、 ヒロインの前では素晴らしいへタレっぷりを見せる彼を描いてみようと思います。
それを上手く表現出来るかは読んでご存知の通り、お粗末な文章力なんで未定ですが・・。
心の広い方は、どうか暖かく見守ってやって下さい。

それでは最後になりましたが、読んで下さった皆様、本当にありがとうございました!









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