二コルと一緒に食堂に行くと、二人の少年が彼に声を掛けてきた。

「二コル」

「アスラン、ラスティ!」

「今日は家に戻ってたのか?」

藍色の髪の少年が二コルに尋ねた。

「ええ。せっかくの休日ですから、ピアノを弾きに帰ったんです」

そうして二人がやり取りしている間、二コルに声を掛けてきたもう一人の少年―藍色の髪の少年より少し背の高い、オレンジ色の髪の少年― が私に気がついて、誰かと言わんばかりにじろじろと見てきた。

会話が一段落ついた所で、

「二コル、彼は?」

と私の事を尋ねた。

「ああ、彼は今日から僕の同室になったです。今からみんなに紹介しようと思って。とりあえず先に席に着きませんか?」

「そうだな」

藍色の髪の少年が答える。

「あそこにイザーク達がいるぜ?」

ある方向を見ながらオレンジ色の髪の少年が言った。

「じゃあ、そこに行きましょう」

私達は食事の載ったトレイを受け取ると、金色の髪の少年と銀色の髪の少年が座っている机に向かった。





「よう!イザーク、ディアッカ。隣いいか?」

「ラスティじゃん。いいよ、空いてるぜ」

そう言うとオレンジ色の髪の少年―ラスティと呼ばれた少年―は金色の髪の少年の隣に座った。

その隣に藍色の髪の少年も座る。

金色の髪の少年と向かい合わせに座っている銀色の髪の少年の隣に二コル、私と席に着いた。

「あれ?そいつは?見たことない顔だけど・・」

金色の髪の少年が私を見るなりそう言った。

「これから皆さんに紹介しようと思って。今日から僕の同室になったです」

二コルに促されて私は自己紹介をした。

だ。これからよろしく」

努めて男らしく振舞う。

「ふーん、年はいくつなの?」

再び金色の少年が尋ねてきた。

「16だけど・・・」

「ってことは、俺の1コ下ってわけか。まだ二コルと同じで声変わりしてないのね。 一瞬女の子かと思ったぜ」

「じょっっ、冗談はよしてくれよ!顔が母親似だからよく間違われるけど・・・」

かなり冷やりとした。

二コルは何も言わなかったけれど、やっぱり周りにはそう見えるのか・・・・・・

「そうですよ!僕もよく間違われますけど、本人は気にしてるんです。声変わりには個人差があるんですから仕方ないじゃないですか!」

二コルが急に興奮して彼を非難した。

その勢いに押されて、

「・・・っ悪かったよ。ちょっと話のきっかけを作ろうと思ったんだって・・・・・。 悪かったな、。俺はディアッカ・エルスマン。よろしく」

と、二コルに謝りながら私に自己紹介をした。

「いや、気にしてないよ。よろしく、ディアッカ」

「それじゃあ、次はラスティ」

「俺はラスティ・マッケンジー。よろしくな、

二コルに促されてオレンジ色の髪の少年―ラスティ―が笑顔で言った。

「アスラン・ザラだ。よろしく」

藍色の髪の少年もそれに続く。

「よろしく」

「では、最後はイザーク」

私は二コルの隣にいた銀色の髪の少年を見た。





綺麗に切りそろえられた銀色の髪。

端正な顔立ちの中にあるスカイブルーの瞳は吸い込まれそうな程に澄んでいた。

「何をじっと見ている」

イザークと呼ばれた少年が私を見て不快そうな顔をしている。

言われて初めて、自分が彼に見惚れていた事に気がついた。

「わっ悪い・・」

と慌てて答える。

「俺はイザーク・ジュールだ」

それだけ言って、彼は何事もなかったように食事を続けた。

「よろしく」

私はおそらく聞いてないであろう彼に言葉を返した。





























これが、イザーク・ジュールとの初対面だった。

最初は無口で素っ気無い人という印象でしかなかった。









































その後はたわいのない話で盛り上がった。

食べ終えて、トレイを返しに行こうと席を立ち上がったその時――――

私は椅子に足を引っ掛けて倒れそうになった。

トレイを返して席に戻ろうとしたディアッカが、タイミングよく腕を掴んで 支えてくれて、あやうく倒れずには済んだのだか、突然の出来事に






「きゃ!」






と叫んでしまった。

私の腕を掴んだまま、ディアッカは今起こった事が信じられないような顔で私を見る。

二コルや他の三人も驚きを隠せない表情で私を見ていた。




背中に冷たいものが流れるのを感じた。






しまった!









どうしよう、何とかしないと・・・。













何か言わないと・・・・・。














何か言い訳しないと・・・・・・・。













頭の中で思考がものすごい速さで渦巻いている。

ちょうどその時―――先ほど倒れかかった際にトレイから落ちたのか、床の下に落ちていたキャベツの千切りが目に入った。

私は反射的に、






「キャ、キャベツが落ちた!」






と言って、ディアッカに掴まれていた腕を振り払うなり即座にしゃがみこんで、必死にキャベツの千切りを拾い始めた。



周囲に沈黙が漂う。

食堂に響き渡る学生の話し声や、奥の調理場で飛び交う食器の音がやけに近くに聞こえた。

一秒が何十時間もあったように感じられた。

必死に拾う振りをしながら―なんでもいいから誰か何か言ってくれ―と何度も心の中で叫んだ。





















すると、



「あっははははははははは!」



と、ラスティイが吹き出した。

ほぼ同時にディアッカも私の横で笑い出す。

「ナッッ、・・・面白すぎっっっ!!! 普通はキャベツより自分が倒れなくてよかったって思うだろうがっ!あっははははは!!」

「だよねっ、俺一瞬がおかまなんじゃねーかと思って焦ったぜ。あっはは!」

ディアッカの一言にひやりとしたが、依然として笑い続けている2人を見て、内心かなりホッとした。

二コルやアスランも笑みをこぼしている。

約一名―イザーク―を除いては。

彼はいかにも不愉快そうな顔で私を見た後、足早にトレイを返して食堂から出て行ってしまった。

私はそれを横目で見ながら、

「いや・・俺の親厳しくて、食べ物は落としたり粗末にするなって言われてたから・・・」

と、苦しいと思いながらも言い訳をしてみた。

「なら、キャベツを残したらまずいんじゃないか?」

すかさずアスランが痛いところを突いてくる。

「こっここは家じゃないんだから、残したっていいだろ」

そう言って、私はトレイを返しに行った。























二コル達と別れて先に部屋に戻った私は急に緊張感が解けたのか、脱力して玄関の前に座り込んでしまった。

「はぁ〜〜〜〜、なんとか切り抜けられてよかったぁ・・・・・・・・」

まあ、かなり厳しい言い訳ではあったが・・・・・

今さらながらによく切り抜けられたよなぁと呆れ返りながらも、あの時ラスティが勘違いしてくれなかったら と思うとかなりゾッとした。

イザークは何も言わなかったけど、変に思わなかっただろうか。

そんな考えが頭をよぎったが、緊張感が途切れて疲れの方が勝っている今は、 頭をかすめる程度ですぐに忘れてしまった。

初日からこれでは先が思いやられるなと思うであった。




































第2話です。ついに、イザークが登場しました!今回はヒロインとの出会い編です。

にしても、キャベツは苦しかったなぁと私的にも思います(笑) 食堂で「キャ」のつく物って言ったらこれしか 思いつきませんでした(^^; ちなみに、献立はハンバーグです♪(←どうでもいいし・・・)

次回は、やっとイザークとたくさん絡んでもらいますv 3日以内にはupする予定です。

それでは最後になりましたが、読んで下さってありがとうございました!









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