目が覚めると、いつもの見なれた天井が目に入った。

いつの間に眠ってしまったんだろうか・・・

身体中がものすごくだるい。

それに喉がカラカラだった。

とりあえず水を飲みに行こうと思い、重い身体をなんとか持ち上げると、部屋の雰囲気がいつもと違うことに気がついた



―その時

「目が覚めたか?」

という声が耳に入った。

驚いて声がした方に顔を向けると、そこにいたのはイザークだった。

彼はデスクチェアに座ってこちらを見ている。

「イッ・・・イザーク・・・・・」

それで初めて気がついた。

自分がイザークの部屋にいることに。

部屋の造りや家具は私の部屋と変わりはないが、置いてある小物などが微妙に違う。

ふと、イザークの後ろにある机の上の置き時計が目に入った。

時刻は12時42分を指している。







どうして私はイザークの部屋にいるんだろうか?

しかも、そこで寝てたなんて・・・・・

私は起きたばかりで、まだ意識のはっきりしない頭を精一杯働かせて記憶をたどる。



今日は授業が終わった後、午後は部屋で寝てて・・・・・

そしたら、イザークが部屋に乗り込んできて・・・・・・・・・・・・





そこまで思い出して、私は一気に目が覚めた。

そうだ・・・いつものようにイザークに勝負を挑まれて、体調が悪いからと断ったら 言いたい放題文句を言われて、頭にきた私は彼の挑戦を受けてフェンシングの試合をして・・・・・・・

試合中に、さらに気分が悪くなってめまいがしたと思ったら―――









そこから先の記憶がない。

おそらく意識を失ったのだ。

その後イザークがここに運んできてくれたんだろう。

やっと事態が呑み込めた私は、今さらのように重大な事に気がついた。



次の瞬間、自分の身体からみるみると血の気が引いていくのがわかる。

背中に冷たいものがいく筋も流れたような気がした。













―どうして私は制服を着ているの!?―















倒れた時はユニフォームを着ていたはずだ。

いま私が制服を着ているということは、誰かが着替えさせたということになる。





イザークが・・・・・?





私はおそるおそるイザークを見た。

彼は黙って私の様子を窺っている。

イザークにバレてしまったんだろうか・・・・・・・







―私が女だってことが―









でも、ユニフォームの下にはいつものようにチョッキを着ていた。

下には、制服の下に着用することを義務付けられている青色のショートパンツも身につけていたのだ。

ただ着替えさせるだけであれば、気付くはずがない。



だがバレていないのなら、どうしてイザークは私を同室の二コルの部屋に連れて行かなかったのだろうか?

イザークの部屋に寝かせたのは、目が覚めた時に私にその理由を聞き出そうと思ったからじゃないのか?



色んな考えが頭の中を駆け巡っていく。

私は混乱しそうだった。





すると、今まで黙って私を見ていたイザークが急に口を開いた。

「もう気分はいいのか?」

あまりに意外な言葉を掛けられて、私は呆気にとられてしまった。

イザークはデスクチェアから立ち上がり、私の隣のベッドに腰を下ろして話を続けた。

ちょうど私と斜めに向かい合う形で座りながら。

「俺は回りくどいのは嫌いだから単刀直入に言う」

イザークは射抜くような鋭い視線を私に向けると、



、お前は女だな」



と静かに言った。















私は、何を言われたのかすぐには理解できなかった。

聴覚を通して、脳で理解するまでにかなりの時間を要した。

脳が言われたことを理解した瞬間―

頭の中が真っ白になった。























―イザークニバレテシマッタ―

























この事がイザークの口から他の誰かに知れたら、私はここにいられなくなる。

最悪の場合、厳重処罰を受けることになるだろう。

当然、軍にはいられなくなる。

前線で戦うことが叶わなくなる。

ナチュラルをこの手で撃つ事ができなくなる。





そしたら、私は生きる目的を失ってしまう。





それだけは避けたい。

「イザーク、お願い・・一生のお願い!! この事は誰にも言わないで黙ってて欲しいの。 私はどうしても、いま軍を辞めるわけにはいかない・・・。 黙っててくれるなら、どんな事でもする。 だから、お願い!誰にも言わないで・・・!!」

私は、無我夢中で必死にイザークに頼み込んだ。

口の中が乾ききっていたので、最後の方は声がかすれてしまった。

気がつくと、目には涙が浮かんでいた。

それを見られたくなくて、私は懸命に涙をこらようとした。









イザークはため息をついた。

「おい、話は最後まで聞け!誰が話すと言った。俺は別にお前の事を口外するつもりはない。 ただ知ってしまった以上、俺にはお前が男装してる 理由を聞く権利がある。それを言いたかっただけだ」

私は呆然とイザークを見つめた。

彼は相変わらず無表情のままだ。

でも今の言葉を聞いた途端、私の中で張り詰めいていたものが一気に解けて、全身から力が抜けると、 こらえていた涙がとめどもなく溢れてきてしまった。

「なっっ!!! なぜ泣くんだ!」

そんな私を見て、イザークはうろたえた。

私は必死に涙を拭って、

「あっ、ゴメン・・目にゴミが入っちゃって・・・・・。ゴメンね・・・。ありがとう、イザーク」

と、涙でぐちゃぐちゃになった顔で笑って答えた。

イザークは少し赤くなって、そっぽを向いてしまった。












































それから私は洗面所で目元が真っ赤に腫れた顔を洗い、イザークが冷蔵庫から持ってきてくれた水を一口飲んでから、 ポツリポツリと話し始めた。

自分が男装してる理由を。



本当の名前はだということ。

血のバレンタインで両親と兄が亡くなって、一人きりになってしまったこと。

母方の祖父母に引き取られてからは、生きる気力をなくしてしまったこと。

そんな時、ナチュラルに復讐してやりたいと思い、軍に入る決意をしたこと。

前線で戦うには、女でいるよりも男の方が有利だと思ったこと。

順を追って、少しずつ話を進めた。





その間イザークは口を挟むこともなく、ただ黙って私の話を聞いていた。

私は、それぞれの出来事に対して自分が思ったことなどもすべて彼に話した。

なぜそんなことまで話してしまったのかは私にもわからなかった。

今思えば、私は誰かに知ってもらいたっかたのかもしれない。

誰かに自分の存在を認めてもらいたかったのかもしれない。

本当の自分を。

女であるという人間のことを。

















すべて話し終えた後、私は静かにイザークの言葉を待った。

彼は依然として黙り込んでいる。

少し考え込んでいるようにも見えた。

当然と言えば、当然の反応だ。

一度のたくさんのことを聞いて、頭がついていかないのだろう。



「つまり、話をまとめると・・」

イザークがやっと口を開いた。

「貴様は血のバレンタインで家族を失って、ナチュラルにその復讐をするために男と偽って軍に入ったということだな」

「うん・・・・・」

私は素直にうなずいた。

イザークはやっと合点がいったという顔をした。



イザークは私の話を聞いてどう思ったんだろうか。

何も言わないけれど・・・軽蔑されちゃったかな・・・・・





「まあ、気持ちはわかるがな・・・」

ふいにイザークがつぶやいた。

「俺もユニウスセブンが核攻撃を受けている映像を見て、このままではプラントも二の舞になるかもしれないと 思って軍に志願した。ナチュラルどもをみすみす野放しにしておくわけにはいかないからな。

そう思って、軍に志願した奴は俺だけじゃないだろう。貴様のように家族を殺されて軍に入った奴も 多いだろうしな」

そこまで言ってから私を見据えると、

「ただ、男と偽って軍に入ったのは貴様くらいだろうがな」

と付け加えた。

私は、何も言えなかった。



「さっきも言ったが、俺はこの事を口外するつもりはない。言っておくが、貴様のためじゃないぞ。 面倒なことを起こしたくないだけだ」

イザークは念を押すように言った。

「だから俺は貴様を女だとは思わない。貴様が今回のように失態をおかしたとしても俺には関係ない。 助け船を出したりはしないからな。それだけは覚えておけ!」

いつものように冷たい言葉を投げかけるイザークだが、今の私にはそれがありがたかった。

おそらくこれがイザークなりの心遣いなのだろう。

「ありがとう、イザーク」

私は満面の笑顔でイザークにお礼を言った。

イザークは「フンッ」と言って、またそっぽを向いてしまった。



でも、一つ疑問が残った。

「イザーク、一つ聞きたいんだけど・・・」

イザークはなんだと言う顔でこちらを見る。

「どうして私が女だってわかったの?」

私がそう聞いた途端、イザークの顔が一気に真っ赤になった。

「そっっ、それは・・・・・だな・・・」

イザークはあきらかに慌てた様子で、口ごもる。

私は全く訳がわからない状態でイザークを見つめていると、ふと胸の辺りがいつもより きつくない事に気がついた。

私は瞬時に真っ青になった。





さらしが緩んでいるのだ





「もっっ・・・もしかしてっ、イザーク・・・・・・・」

顔面蒼白になりながら尋ねる私に、イザークはしどろもどろになりながら答える。

「おっ、俺は見てないぞ!! 俺はディアッカとは違う!ただっ・・・・・ただ、本当に女かどうか確かめるために・・・・・・・・ さら・・」

イザークの言葉を最後まで聞かずに、私は反射的にベッドから飛び降りて脱衣所に向かった。

扉を閉めるなり、上着とチョッキを脱いでさらしを確認する。

思った通り、さらしがゆるんで胸の大きさが戻っていた。しかも、さらしは乱暴に巻かれている。

私はさらに真っ青になった。

どこまでほどかれたのかを確認するために、急いでさらしをほどきにかかると、 5回程ほどいたところで乱暴に巻かれていた部分がなくなった。

さらしは少しでも胸の大きさを減らすために、8回程巻ける長さにしてある。

ざっと6メートルの長さだ。

私は脱力してその場に座り込んでしまった。

胸の大きさはばれてしまったが、見られてはいないようだった。



「よかったぁ〜〜〜〜〜」



今日は何度こうやって冷汗をかいたり、安堵したりを繰り返してるんだろうか。

なんだかどっと疲れが出てきてしまった。









ここでこうしている訳にもいかないので、私はいつものようにさらしをきつく絞め直して部屋に戻った。

イザークは私が脱衣所から出てきたのを見て、

「おっ、俺は本当に見てないぞ!!」

と必死に叫んだ。

「うん、わかってる・・・」

私は少し赤くなりながら答えた。

イザークも先程と変わらず真っ赤な顔をしていたが、 私の言葉を聞くと、疑いが晴れて本当によかったというような表情をしていた。

「服を着替えさせた時に・・・防刃チョッキのようなものを着ていただろ。 フェンシングの試合のために着たと思って・・・・その・・・・・脱がせたんだ」

イザークが聞こえるか聞こえないかのような声でつぶやく。

「そっか・・・」

まあ確かに、誰だって変に思うだろうなとは私も思う。

これからは本当に気をつけないとな、とさらに自分に言い聞かせた。



「今日は遅いからもう寝るぞ。明日も授業はあるんだからな。ディアッカはもう二コルの部屋で寝てるだろうから、 貴様はディアッカのベッドを使え」

しばらくして落ち着きを取り戻したイザークはそう言うと、タンスから着替えを取り出して、 シャワーを浴びに行くのか脱衣所に向かった。

その後ろ姿に、私はもう一度お礼を言った。

「イザーク、本当にありがとう。おやすみなさい」

イザークは何も答えなかった。

そのままドアの内側へと消えていった。







私は少しだけ胸のつかえが取れたような気がした。

そしてそのままベッドに倒れこむと、意識を手放した。





















この日を境に、イザークとの関係が微妙に変化し始めることになる。




































第5話です。とうとう(?)ヒロインの秘密がイザークにばれて、少し急展開致しました!やっぱりイザークは カッコいいなぁと思う今日この頃v かなりSEED熱が戻ってきております!!

次回から本格的に夢小説らしい展開へと移っていきます。まだこの先は原稿を書いてないんで、私も どうなるかわかりません(←おい!) 話はもうちょっと長く続きそうです。お付き合い下さると嬉しい限りです☆

続きは、オルガ夢を数話upしてからにしようと思います。

それでは最後になりましたが、読んで下さって本当にありがとうございました!









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